ビットコイン(BTC)のトークン規格、BRC-20を利用したミームコインが急速に人気を集めており、時価総額は約1,300億円(10億ドル)に達しつつある。しかし、投資家は技術的課題や低い流動性を考慮し、慎重な判断とリスク管理が求められている。
BRC-20トークンの代表格、ORDIは8日にGate.io取引所で取扱いが開始され、過去1か月で190倍の価格上昇を記録。時価総額は約540億円(4億ドル)になっている。BRC-20はビットコインで取引可能なトークンを生成する実験的なフレームワークで、Ordinalプロトコルを活用している。導入後わずか数ヶ月で14,000以上のBRC-20トークンが生まれた。
Ordinalプロトコルは、ビットコインブロックチェーンにデータを埋め込むためのレイヤー1プロトコルであり、「インスクリプション」技術を用いている。ただし、現在のエコシステムではDeFiなどは存在せず、ミームコインが中心となっている。
BRC-20トークンの市場では、ORDIの他にもPEPE、MEME、PIZA、DOMOなどが登場し、ミームコインブームがビットコイン市場で加熱している。BRC-20トークンの総時価総額はおおよそ900億円(7億ドル)となっている。
BRC-20には技術的課題が多く、開発者Domo氏も「発展途上」と指摘。スクリプトファイルを用いた取引方法は、スマートコントラクトに比べて機能や柔軟性に制約がある。また、ウォレットや取引所のアップデートが必要で、流動性が低い場合がある。
トップのORDIトークンでも、過去24時間の取引量は2600万円(20万ドル)で、価格の高いボラティリティが懸念される。さらに、UniSatではコードの脆弱性が突かれ、二重支払い攻撃が発生している。
一方で、BRC-20トークンの人気がビットコイン市場に影響を与えている。5月7日のビットコインネットワーク上の1日あたりの取引数は534,000件に上昇し、2018年と2021年の強気相場を超えた。そのうち65%がBRC-20トークンに関連している。
この現象は、ビットコインブロックチェーン上のブロックスペース競争が激化し、トランザクション手数料が高騰している。高い手数料はマイナーに利益をもたらし、セキュリティの堅牢性を向上させるが、企業や個人にとっては負担になる可能性がある。
BRC-20トークン市場に対する意見は分かれているが、仮想通貨教育プラットフォーム創設者のKashif Raza氏は、「Taprootという大型アップグレードがOrdinalプロトコルを生み出し、開発者は新たな可能性を模索している。これは自由市場の一環であり、BRC-20トークン市場の拡大はビットコインの成長を促す」と主張している。
まとめると、ミームコインを中心としたBRC-20トークン市場は急速に拡大しており、ビットコイン市場に影響を与えている。しかし、技術的課題や流動性の低さから投資家は慎重な判断とリスク管理が求められる状況となっている。今後の市場の動向に注目が集まる。